こんにちは。
大阪府堺市の行政書士の中村です。
ご訪問いただきましてありがとうございます。

貨物運送業の許可は、現在では、一度取得したら、事業廃止や許可取り消しの行政処分を受けなければ、許可が失効することはありませんでした。

しかし、先日、「トラック事業適正化関連法案」が提出され、27日にも衆議院を通過する見通しとの報道がされました。

上記法案は、「貨物自動車運送事業法」の一部改正する法案と、同法案の規定を担保するための新法「貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法案」で構成されています。

これにより、貨物運送事業に許可更新制が導入される見込みが高まっています。

既に、貸切バス事業では2017年から5年ごとの許可更新制が採用されていますが、貨物運送事業についても、輸送の安全を軽視した経営を行う運送事業者を排除する目的で、以前から導入が検討されてきており、ついに法案が提出され、可決されようとしているところです。

なお、上記法案には、下記事項が盛り込まれています。
・事業許可の「更新制度」の導入
・「適正原価」を下回る運賃及び料金の制限
・下請け「次数の制限」(2次下請けまで)
・「白トラ」の規制強化

更新許可が認められる要件としては、これから検討されるところではありますが、おそらく貸切バス事業の許可更新の要件と同じような内容になるだろうことが予想されます。

貸切バス事業の許可更新制度から考えると下記の点について、問われることになるでしょう。
・更新申請までの5年間の安全投資実績の状況
・更新申請までの5年間の財務状況
・更新申請までの5年間の車両の整備状況
・更新申請までの5年間の運転手の賃金、社会保険、労働保険の加入状況
・更新申請までの5年間の行政処分の状況
・更新許可から5年間の安全投資計画及び収支実績見積書の状況

貸切バス事業の許可更新のお手伝いをさせていただいている立場から申しますと、更新制度が導入されることで、運送事業者様には多大な負担がかかることになりますが、安全を意識するという観点からは非常に有効ではあります。

その結果、更新許可の審査に耐えられず、廃業せざるを得ない事業者様が出ることとなりますが、その分、法令を遵守し、安全意識の高い事業者が残ることにもつながります。

まだ、具体的なものが出ている段階ではありませんが、今からできる対策を少しでも早く始めることが重要ではないかと思います。