2019年07月05日

こんにちは。
大阪府泉佐野市の行政書士の中村です。
ご訪問いただきまして、ありがとうございます。


現在、お取引のある建設業者様から
建設工事請負契約書作成のご依頼を頂いております。


今回、大きな工事を受注したことと、
工事の依頼者が金融機関からお金を借りられるとのことで、
契約書が必要になったとのことでした。


では、今までは、
どうだったのかというと、
注文書請書の作成のみで済ませていたようです。


実際には、建設業の取引では、
このように注文書と請書だけを交わすことが多いのですが、
小規模な工事になると、それすらも交わしていないことも多いのが
実情ではないでしょうか。


さて、取引において、
契約書を交わすということはとても重要なことです。


民法上では、
契約自体は契約書がなくても成立します。


いわゆる書面のない口約束でも、
公序良俗に反しない内容であれば
契約は有効になります。


しかし、建設業者様の場合には、
建設業法で定められている決まりに従う必要がありますので、
注意しなければなりません。



建設業法による建設工事請負契約の原則


建設業法では、
第三章に「建設工事の請負契約」という規定をおき、
建設工事の請負契約についての決まりを定めています。


その第18条では、
建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合
 意に基づいて公正な契約を締結し、審議に従って誠実にこれを
 履行しなければならない

と建設工事の請負契約の原則について定めています。


更に第19条では、建設工事の請負契約の当事者は、
契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は
 記名押印をして相互に交付しなければならない。

と定めています。


つまり、建設工事の請負契約の注文者と請負人は、
対等な立場で書面をもって契約を締結しなければならない
ということです。


また、契約締結の方法については、
以下の3パターンがあります。


1.建設工事請負契約書(工事の都度、契約を締結する。)
2.建設工事基本契約書+注文書及び請書
3.建設工事基本約款+注文書及び請書



専門工事業者様の場合は、
2か3のパターンが多いものと思います。


注文書及び請書の形態により請負契約を締結する場合には、
平成12年6月29日付建設省経建発第132号建設省建設経済局建設業課長通知
記載された内容を満たしているものでなけれなりません。
(下記「注文書及び請書で請負契約を締結する場合の注意点」参照)


契約書に記載すべき事項は?(記載が必要な14項目)


建設業法では、
必ず契約書面に記載しなければならない事項として、
次の14項目を定めています。
(法第19条第1項)

 ① 工事の内容

 ② 請負代金の額

 ③ 工事着手の時期及び工事完成の時期

 ④ 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払
  の時期及び方法

 ⑤ 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出
  があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方
  法に関する定め

 ⑥ 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め

 ⑦ 価格等(物価統制令(昭和21勅令第118号)第2条に規定する価格等をいう。)の変動若
  しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更

 ⑧ 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め

 ⑨ 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内
  容及び方法に関する定め

 ⑩ 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期

 ⑪ 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法

 ⑫ 工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締
  結その他の措置に関する定めをするときは、その内容

 ⑬ 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金

 ⑭ 契約に関する紛争の解決方法


これらの内容は、必ず契約書面の中に盛り込まなくてはなりません


注文書・請書により請負契約を締結する場合の注意点


建設工事請負契約を締結する際には、
契約書を作成して署名又は記名・押印して双方が所持することが基本ではありますが、
継続的にお付き合いのある事業者同士ではそういうわけにもいかず、
注文書及び請書を互いに交付することで、
取引を成立させることが実際には多く行われています。

そこで、平成12年6月29日付で、
当時の建設省が注文書及び請書により請負契約を締結する際
留意事項について整理しています。

パターン1 基本契約書を取り交わす場合

 ① 基本契約書には、個別の注文書及び請書に記載される事項を除き、法第19条第1項各号に掲げ
  る事項を記載し、当事者の署名又は記名・押印をして相互に交付すること。
 ② 注文書及び請書には、法第19条第1項から第3号までに掲げる事項、その他必要な事項を記載
 ③ 注文書及び請書には、注文書及び請書に記載されている事項以外のじこうについて、基本契約
  書の定めによることを記載
 ④ 注文書には注文者が、請書には請負者がそれぞれ署名又は記名・押印していること

2.注文書及び請書の交換による場合

 ① 注文書及び請書のそれぞれに、同内容の基本契約約款を添付又は印刷すること
 ② 基本契約約款には、注文書及び請書の個別的記載事項を除き、法第19条第1項各号に掲げる事
  項を記載すること。
 ③ 注文書又は請書と基本契約約款が複数枚に及ぶ場合には、割印を押すこと。
 ④ 注文書及び請書の個別的記載欄には、法第19条第1項から第3号までに掲げる事項その他必要
  な事項を記載すること。
 ⑤ 注文書及び請書の個別的記載事には、それぞれの個別的記載欄にきさいされている事項以外の
  事項については基本契約約款の定めによるべきことが明記されていること。
 ⑥ 注文書には注文者が、請書には請負者がそれぞれ署名又は記名・押印していること

単に、注文書と請書を交わすだけではなく、
上記内容を満たしたものでなければ、
建設業法第19条第1項の規定に違反することになりますので、
ご注意ください。

特に、大臣許可の経営事項審査を受審する際には、
このような指摘を受けることがあります。


工事請負契約書の標準様式


法律上、請負契約書等が必要なことがわかっても、
いざ、自社で基本契約書や基本約款を作成しようとしても、
イチから作成するのは大変ですよね。


そこで、国土交通省などが標準請負契約約款を作成して公表しています。

一部をご紹介しますので、
これらを基に自社の雛形を作成すしてみてはいかがでしょうか。

 国土交通省        → 建設工事標準請負契約約款
 日本弁護士会連合会    → 住宅建築工事請負契約約款
 住宅リフォーム推進協議会 → 住宅リフォーム標準契約様式
 全国建設労働組合総連合  → 工事請負契約書

ただし、
工事請負契約書作成のポイントを正しく理解した上で進めないと、
後々、大きなトラブルにもなりかねませんので、
自信がないのであれば、専門家のチェックを受けることを忘れずに。


建設業の許可手続き、法令遵守はお任せください。


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行政書士の中村 武と申します。

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